「理学療法」という言葉を聞いたことがありますか?
   健康な人にはあまりなじみがない言葉かもしれませんが、障害がある方、怪我をした方などにとってはとても大事な言葉なのです。今から理学療法について説明していきます。
「リハビリテーション」って何だろう?
リハビリテーション理学療法に比べるとよく耳にする言葉です。皆さんの頭の中には今、病院の訓練室で一生懸命歩く練習をしている患者さんの姿が思い浮かんでいる事でしょう。確かにこれも一つの姿なのですが、これはリハビリテーションのほんの一部に過ぎません。
国際保健機構(WHO、1981年)の定義
   リハビリテーションとは障害や障害を持った状態を改善し、障害者の社会的統合を達成するためのあらゆる手段を含む。さらに、リハビリテーションは障害者が環境に適合するための訓練を行うばかりでなく、障害者の社会的統合を促すために全体としての環境や社会に手を加えることをも目的としている。そして、障害者自身、家族、住んでいる地域社会がリハビリテーションに関係するサービスの計画や実行に関わり合わなければならない。
 
   難しい言葉ばかりでわかりにくいですが、つまり、手足を曲げたり伸ばしたり、歩く練習をしたりする機能訓練だけがリハビリテーションなのではなく、障害を持った人が普通の生活が出来るようにするために行うすべての活動をリハビリテーションというのです。 
  障害があって仕事をするのが難しい人に色々な技能を覚えていただき、職業生活に復帰できるよう援助したり、歩けなくて家の外に出ることが出来ない場合に、家屋を改造して車椅子のまま出入りできるようにしたりすることもリハビリテーションと呼んでいいのです。またそのようなことをするためには理学療法士だけでなく、医師、看護婦・士、作業療法士、言語聴覚士、保健婦・士、ケースワーカー、介護福祉士、社会福祉士などなど、多くの人たちが必要なのです。リハビリテーションは病院の訓練室だけでなく、病室でも、ほかの色々な施設でも、家庭でも行われるものなのです。
理学療法って何だろう?
   では、リハビリテーションの中で理学療法とは何をするのでしょうか。
理学療法の定義 
   理学療法とは、身体に障害があるものに対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行わせ、及び電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えることを言う。

   このように、理学療法は皆さんが最初にイメージした訓練室でのリハビリに近いことをしているのです。

   
理学療法を行う国家資格〜理学療法士〜
   では、リハビリテーションを担う職種がたくさんありますがその中で理学療法を行う理学療法士について説明します。
  理学療法士は昭和40年に制定された理学療法士及び作業療法士法で決められた国家資格です。平成11年3月現在では全国に18,481名の理学療法士がいます。(日本理学療法士協会登録会員数) 今後毎年2,000名を超える人が理学療法士として社会にデビューしていくことになっています。  現在,日本では高齢社会の到来など、以下の図に示すようなさまざまな要因によって何らかの障害を抱えて生活していかなければならない人の数は年々増加の一途をたどっています。理学療法士や作業療法士はそのような人たちがなるべく普通の、障害のない人たちと変わらない質の高い生活ができる (このような考え方をノーマライゼーションと言います)ように援助していくためにとても重要な役割を持っている職種なのです。

理学療法士になるには?
理学療法士の国家資格を取得するには、厚生省の指定を受けた以下の学校のうちいずれかを卒業していなければなりません。
 4年制大学の理学療法学科
 3年制短期大学の理学療法学科
 3年制専門学校の理学療法学科
 4年制専門学校の理学療法学科
  
などです。夜間の学校もあります。
卒業したら国家試験受験資格が得られます。国家試験を受け、合格して始めて理学療法士となるのです。指定学校を卒業していなければ国家試験の受験資格がありませんので、少なくとも3年間 (全日制の場合)の学校での教育を受けることが絶対必要となります。なかなか大変ですね。とにかく障害を抱える方々を対象とした仕事ですので、大きな責任が伴います。したがって、人の体に対する知識は勿論、福祉、保健分野など幅広い勉強が必要になります。学生は医学的知識や理学療法の専門知識の講義、病院での臨床実習など毎日とても大変な、でも充実した毎日を送っています。
どんなところで働いているの?
理学療法士はどんなところで働いているのでしょうか。やはり一番多いのは病院のようですが、下のグラフでもわかるように他にも色々なところで働いています。
老人保健施設 (障害を持った70歳以上の方が家庭に帰るためにリハビリテーションをする施設 )や老人ホーム、肢体不自由児の施設、保健所や保健センターなどでも活躍しています。また最近はプロスポーツのチームなどに所属している理学療法士もいます。高齢社会の到来、医学技術の発達、福祉制度の充実といった社会の変化に応じて、理学療法、そして理学療法士の必要性はますます高まっています。

〜理学療法士の夢 どんな社会を目指す?〜
これからの社会の基盤としての理学療法士

●これからの国家資格、これからの仕事
   昔と違い、障害があることに対する社会の理解はとても改善しています。障害があるということが特別でなく受け止められる時代が訪れようとしています。そんな時代に向けて、国家資格である理学療法士を目指す若者が増えており、それに応じて理学療法士の養成施設も増えつつあります。来るべき時代に理学療法士の持つ役割は大きく、社会の基盤を支える重要な仕事となることでしょう。
●さまざまな産業と結びつく
   欧米では街中で電動車椅子に乗ったお年寄りや障害者をとても普通に見かけます。その様子が自然に町の風景として溶け込んでいて、周りの人たちも全く違和感なくその存在を受け入れています。果たして今の日本はどうでしょうか。特に長崎は坂、階段が多く、例えば車椅子で家から外に出ることは非常に大変なことです。家の中でも段差や和式の生活などで高齢者や障害のある方たちはとても不便な生活を送っています。また、緊急時の非常呼び出しシステムや他の人々と自由に意志交換が出来る通信システムなど、こうしたことを解決するために、理学療法士は福祉機器や情報機器などの産業などとも連携していきます。 
●家庭でも、地域でも
   リハビリテーションは、障害を持つ人がもとの生活に戻るだけでなく、障害を前提に新しい人生を建設することでもあります。ですから理学療法士は単に医療機関だけでの仕事ではなく、地域のデイセンターや保健所、障害者家庭への訪問指導、職業訓練や教育機関などさまざまな分野に進出していきます。
●「与える医療」から「支える医療」へ 
病気や怪我を治療するために診察や治療を受ける。しかし、実際に病気や怪我に立ち向かうのは最終的には本人なのです。そこには自ら意志決定し、選択をすることが出来るような医療体制がなければなりません。 そのために、単に与える医療でなく、本人と心の通じ合った、その明確な意志を確認した上での支える医療、つまり私たち理学療法士の仕事が今後ますます必要となることでしょう。

このマークを覚えていてください。これは社団法人日本理学療法士協会のマークです。きっとどこかでまた皆さんとお会いできると思います。